老い科学研究所 認知症編
第3章四大認知症の特徴と関わり方
原因によって、
症状も関わり方も変わります
認知症にはいくつかの種類があり、主なものは「アルツハイマー型」「血管性」「レビー小体型」「前頭側頭型」の4つです。
種類によって、最初に現れやすい症状や進み方、ご本人への接し方のポイントが異なります。まずは4つの違いを一覧で見てみましょう。
4つの認知症の比較
| 種類 | 初期症状 | 主な特徴 | 進行・経過 |
|---|---|---|---|
| アルツハイマー型 | もの忘れ | 記憶障害・見当識障害 | 記憶障害や見当識障害から、ゆっくり進行する |
| 血管性 | もの忘れ | 感情のコントロールが難しい、手足のしびれ | 脳梗塞などをきっかけに、段階的に悪化する |
| レビー小体型 | 幻視・妄想・うつ症状 | 幻視・妄想・パーキンソン症状 | 調子の良いときと悪いときを繰り返しながら進行する |
| 前頭側頭型 | 身だしなみへの無頓着、同じ言動の繰り返し | 人格の変化、自発性の低下 | 年単位でゆっくり進行する |
※表は横にスクロールできます
※見当識障害…時間・場所・人物がわからなくなること
※パーキンソン症状…手足が小刻みに震える、筋肉がこわばるなどの症状
それぞれの特徴と関わり方
01アルツハイマー型認知症
認知症の中で最も多いタイプで、女性に多くみられます。脳に「アミロイドβ」などの不要なたんぱく質(いわゆる「脳のごみ」)がたまり、神経細胞が壊れていくことで、記憶をつかさどる海馬などが萎縮します。
食事をしたことや人に会ったことなど、体験そのものを忘れる「記憶障害」から始まり、いつもの料理や掃除の手順がわからなくなる、通い慣れた道で迷う、といった変化が見られます。進行すると、場所や時間がわからなくなる「見当識障害」や、物盗られ妄想などが現れることもあります。
02血管性認知症
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳の病気が原因で起こります。脳の血管が詰まるなどして酸素や栄養が届かなくなり、その部分の細胞が死んでしまうことで発症します。高血圧・糖尿病・肥満などが血管を傷める原因となるため、日頃の生活習慣の見直しが予防につながります。男性に多く、アルツハイマー型と同時に発症する「混合型」も少なくありません。
記憶障害や判断力の低下が主な症状で、1日の中でも症状に波があり、できることとできないことが混在する「まだら認知症」になることがあります。感情のコントロールが難しくなり、急に泣き出したり怒り出したりする「感情失禁」もよく見られますが、ご本人にとっては理由のあることです。障害を受けた脳の部位によって、手足の麻痺、飲み込みの障害(嚥下障害)、排泄の障害などが現れることもあります。
03レビー小体型認知症
脳の神経細胞に「レビー小体」という特殊なたんぱく質がたまり、神経細胞が壊れることで起こります。男性に多く、女性の約2倍といわれています。視覚をつかさどる後頭葉が影響を受けやすく、実際にはないものが見える「幻視」が特徴です。
初期にはもの忘れよりも幻視が目立ち、「家の中に知らない人がいる」「服の中に虫がたくさんいる」といった訴えが見られます。自分を子どもだと思い込む、退職して何年も経つのに今も働いていると思う、といった「誤認妄想」や、手足の震えなどの「パーキンソン症状」、眠っている間に大声を出すなどの睡眠障害が現れることもあります。
04前頭側頭型認知症
思考や感情のコントロールをつかさどる前頭葉と、言葉の理解などをつかさどる側頭葉の神経細胞が変性し、萎縮することで起こります。「前頭側頭葉変性症」として、国の指定難病に定められています。
初期には、もの忘れよりも性格の変化や行動の変化が目立つため、精神的な病気と間違われることもあります。進行は年単位でゆっくりで、おおむね次のような経過をたどります。
- 初期感情が乏しくなり、ぼんやりしている時間や周りへの無関心が増える。身だしなみへのこだわりがなくなり、同じ言動を繰り返す。社会的なルールを守りにくくなり、トラブルにつながることもある
- 中期同じ行動を繰り返す「常同行動」が目立つ。集中が続かず、会話の途中で立ち去ってしまうことも
- 後期精神状態が不安定になり、食事や部屋から出る機会が減る。体が動きにくくなり、寝たきりになることもある
認知症の方と接するときの3つのポイント
- 1共感する
- 2自尊心を傷つけない
- 3ときには距離を置く