認知症編

老い科学研究所 認知症編
第2章認知症とは

職員と笑顔で話す入居者様

認知症は「病名」ではなく
状態を表す言葉

認知症とは、さまざまな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりして、日常生活に支障が出ている状態のことです。

「認知症」は病名ではなく、こうした症状や状態をまとめた呼び方です。原因となる病気によって、いくつかの種類に分けられます(第3章で詳しくご紹介します)。

「加齢によるもの忘れ」と
「認知症によるもの忘れ」の違い

年齢を重ねれば、誰でももの忘れは増えます。
大きな違いは、「体験そのもの」を忘れるかどうか、そして忘れたことを自覚しているかどうかです。

加齢による
もの忘れ
認知症による
もの忘れ
原因 脳の老化 脳の病気
体験したこと 一部を忘れる 体験そのものを忘れる
忘れた自覚 ある 乏しい
日常生活 支障はない 支障がある

加齢によるもの忘れの例

朝ごはんに何を食べたか思い出せない

認知症によるもの忘れの例

朝ごはんを食べたこと自体を覚えていない

認知症の症状は2つに分けられます

中核症状

脳の神経細胞が壊れることで、認知症の方に必ず見られる症状です。直前のことを忘れる記憶障害が代表的で、古い記憶は比較的残りますが、進行とともに失われていきます。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断力の低下
  • 実行機能障害
  • 失語・失認・失行

周辺症状(行動・心理症状:BPSD)

脳の障害を背景に、ご本人の性格や環境、人間関係が絡み合って起こる症状です。人によって異なり、接する人や時間帯によっても大きく変わります。

  • 妄想・幻覚
  • 不安・抑うつ
  • 徘徊
  • 帰宅願望
  • 興奮・暴言・暴力
  • 介護拒否
  • 睡眠障害
  • 異食

※見当識障害…時間・場所・人物がわからなくなること

手を重ねる様子

周辺症状は、関わり方で和らげることができます

中核症状は脳の障害そのものによるものですが、周辺症状は、ご本人を取り巻く環境や人との関わりから生まれる部分が大きい症状です。

ご本人の不安や戸惑いに寄り添い、安心できる環境を整えることで、落ち着きを取り戻されることも少なくありません。具体的な関わり方は、第5章「介護現場からの発信」でご紹介しています。